Atelier Bonryu

pinhole photography

 
 

ピンホール写真_研究室

ピンホール写真ー注釈5(撮影)

※注5:ピンホール写真の解像力

 焦点距離(感光面までの距離)と光の波長を与えた時に、もっとも鮮明な像が得られるようなピンホールの「最適直径」を求める式は示しましたが、それでは、このような最適の設計をした時にどれほど鮮明な像が得られるのでしょうか?もう少し具体的な質問にすると、例えばピンホールカメラで太陽黒点を撮影するとしたらどの程度小さな黒点まで見分けられるのでしょうか?


解像力の限界:これは、半径
のピンホールを使って無限に遠く(無限遠)にある点光源の像がどの程度広がってしまうかを計算すればわかります。幾何学的に考えれば、この点光源の像は、面積のない「点」になるはずですが、ピンホール直径の決定のところで記したように、光は波であるので回折現象によって広がって、感光面上では半径
をもつ円になります(第1図及び第2図:
は光の波長と焦点距離)。
 
ここで、二つの点光源の像が長さ
だけ離れている場合、もし
であると、もはや、この2点を見分けることは困難になります(第3図)。もし
ならば2つの像は分かれて見えます(第4図)。この
を解像力の限界と見ることができます。望遠鏡の場合、
を「分解能」と言います。
 

⇦第1図

点光源の像は感光面上で半径
の円になります。その回りにも弱い光の輪が出来ます。


第2図⇨

縦軸を光の強さにして同じデータを3次元的に表した概念図です。

 

⇦第3図

 2つの点光源の像の間隔
より小さいと2つの点は分離できない。


第4図⇨

 2つの点光源の像の間隔
より大きいと2つの点は分離して見える。
 
相対解像度:ところで、画面いっぱいに太陽の像を写して黒点を調べるようなことを考えると、画面のサイズSと解像度bの関係が重要で、相対解像度(
)が意味を持つようになります。これを
を使って表すと、
となります。普通、写真などの場合、解像度は「単位長さあたりの画素数」を表しますが、ここで言う相対解像度は「画面の一辺あたりの画素数」みたいなものです。太陽を画面いっぱいに写した時には、直径に沿っていくつ画素があるかを示しているようなものですから、この値が大きければ大きいほど太陽の細かいところまではっきりわかります。ところで、太陽のような天体は、実際上、無限遠にあるので、大きさを表す時には長さでなく「対象物を見込む角度」(これは、ピンホールから感光面を見込む角度と同じです)を使います。感光面を見込む角度
(ラジアン)と画面サイズSの関係は、
であらわせますから、相対解像度は
のように表すことも出来ます。これは、焦点距離を大きくして倍率を高めれば相対解像度が良くなることを表しています。太陽の視直径はほぼ32’(=0.00931ラジアン)ですから、これを画角にとって波長550 nmの光に合わせると、この式は
となります(
はmm単位)。


 注意しなければいけないのは、この式は対象を見込む角度
を一定にして考える時の式ですから、焦点距離を長くして対象物が大きく写るようになれば感光面もそれに応じて大きくしていく場合のことです。一眼レフカメラにピンホールを付けて写真を撮るような場合には、画面サイズSを含んだ式
を使わなければなりません。焦点距離
の効き方が逆になっていますから注意が必要です。
 
まとめ:参考のために、焦点距離
の関数として、ピンホール直径の式
、太陽を見る時の相対解像度の式
、感光面サイズを与えた時の相対解像度の式
をグラフにしたものを示しておきます。なお、光の波長は550 nmとしてあります。
 

⇧第5図:ピンホール直径 対

     焦点距離

⇧第6図:ピンホール直径 対

     焦点距離

⇧第7図:太陽を見る時の相対

     解像度 対 焦点距離

     (画角一定)

⇧第8図:相対解像度 対 焦点

     距離

     (感光面サイズ一定)

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