Atelier Bonryu

ultraviolet photography

 
 

紫外線写真_研究室

デジタル紫外線写真:紫外線

光の波長:最初に、光の種類に関して、赤外線のページで説明したことを再録しておきます。


 人間の眼は、400nm(1nm=0.000000001m:ナノメートル)位(紫の光)から750nm位(赤の光)までの波長を持つ電磁波を感じることができるので、このような電磁波のことを「可視光」と呼びます。可視光よりも少し波長が長い領域(約700nmから1mm = 1,000,000nm位まで)の電磁波を赤外線と呼び、少し波長の短い領域(約400nmから10nm位まで)の電磁波を紫外線と呼びます。可視光は見える光で、赤外線と紫外線は見えない光と言うことができます。これらの光の境目は厳密に決まっているわけではなくて、たとえば、JISの規格Z8120では、波長が(360nm 〜 400nm)から(760nm 〜 830nm)の電磁波を可視光(可視光線、可視放射)と定めています。生物の眼が可視光領域の電磁波を感じることができるのは、太陽からの電磁波(光)には可視光領域のものがもっとも多く含まれているためであると考えられています。

紫外線:さて、紫外線の話です。可視光線や赤外線、紫外線を区別するときには、上に書いたように、波長を使っても良いのですが、波の振動数を使って表すこともできます。(振動数)=(光の速度)/(波長)の関係がありますから、可視光よりも波長の短い紫外線は可視光よりも大きな振動数を持っています。可視光線、赤外線、紫外線のような「電磁波」については、「一粒の光(電磁波)」が持っているエネルギーはその光の振動数に比例しますから、振動数を使って話をした方がわかりやすいかもしれません。光の「波」のことを「一粒」と言ったりして混乱するかもしれませんが、光線というものは「波」の性質と「粒子」の性質を併せ持っているので仕方ありません。そういうものだと思ってください。赤外線、可視光線、紫外線の大まかな範囲を波長と振動数で表したものを下にまとめておきます。

 赤外線:   1 mm - 700 nm 

 可視光線:700 nm - 400 nm 

 紫外線:  400 nm -  10 nm 

ここで、Hz(ヘルツ)は振動数の単位で、1 Hzは1秒間に1回の振動を表します。また、それぞれの光の境界の波長(振動数)は厳密に決まっている訳ではないので切りの良い数にしてあります。振動数で表すと、紫外線が赤外線や可視光線に比べて高いエネルギーを持っていることがわかります。このエネルギーは 約3 eV(電子ボルト:エネルギーの単位)から 100 eV位になりますが、これはちょうど原子や分子が反応を起こす上で都合良い大きさのエネルギーなのです。そのため、紫外線の持つエネルギーによっていろいろな化学反応が起こるので、生物の体も(日焼けとか殺菌とか)善悪両方のいろいろな影響を受けるのです。また、紫外線はその波長(すなわち、振動数あるいはエネルギー)によって、さらに長波長紫外線(400 - 315 nm)、中波長紫外線(315 - 280 nm)、短波長紫外線(280 - 100 nm)、真空紫外線(100 - 10 nm)に分類され、それぞれ特徴を持っています。


眼と紫外線:人間の眼は、角膜とレンズ(水晶体)が紫外線を吸収してしまうために紫外線を見ることができませんが、白内障の手術で水晶体を取り出して眼内レンズを入れている人は 300 nmまでの紫外線を感じることができると言われています(Eugene Hecht, Optics 4th Edition,Addison Wesley 2002)。実は、私も白内障手術をして眼内レンズを入れていますが、今まで紫外線を感じていることを意識したことがありません。300 nm - 400 nm の波長領域はデジタルカメラで紫外線写真を撮る場合の波長領域と一致しますので、白内障手術をした人は、紫外線写真で撮れるのと同じ世界も見ていることになります。しかし、これを意識しないのは、可視光線の効果が強くて紫外線の効果を覆い隠しているからなのでしょう。もっとも、白内障手術後に青みがかって見えるようになるという訴えはよく聞かれることで専用の紫外線遮断グラスも市販されていますから、ただ単に私が鈍いだけなのかもしれません。


 ちょっと横道にそれてしまいました。

 

光の波長と色

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