Atelier Bonryu
zone plate photography
Atelier Bonryu
zone plate photography
フォトンシーブ事始め:花と公園
フォトンシーブを作成する際のパラメータ(穴の数や穴の大きさ等)の選択の自由度はとても大きなものです。一部分はシミュレーションを行う事等で最適な値を選ぶ事ができますが,ここではまずゾーンプレート写真の経験等から直感的にパラメータを選んで、フォトンシーブではいったいどんな写真が撮れるのかを試してみました。下の写真は、波長550 nm、焦点距離50 mm としてゾーン数19 に対応するフォトンシーブによるものです。穴の直径は、中心の穴を除いて、対応するゾーンプレートのゾーン幅の1.5倍になるようにしてあります。また、周方向の分布等についてはやや複雑になるので、別の機会に記述する予定です。
これらの写真を撮影した際に、次のような事がわかりました。まず、被写体に当たっている光が強い事が必要です。これはゾーンプレートの撮影でも経験した事ですが、目的とする被写体と背景の明るさの違いが大きいほど明瞭な写真が撮影可能です。また、ここに掲載した以外にゾーン数29 の写真も撮影したところ、意外な事に、ゾーン数19の写真の方が明瞭な写真が撮れました。さらに、この撮影の際に使ったフォトンシーブとこれらに対応するゾーンプレートとについてコンピュータシミュレーションで像の大きさを計算したところ、その違いはそれほど大きなものではありませんでした。ところが、実際に写真を撮ってみるとフォトンシーブによる写真はゾーンプレートによる写真と比べてはるかにぼけた写真になってしまいました。このように、実際の撮影結果とは理論的な予測とは、今のところ、矛盾するように思われますが、その理由はよくわかりません。一つ考えられることは、フォトンシーブ作成に使ったミニコピーフィルムの解像度が最良で0.006 - 0.008 mm 程度であるのに対して最小ピンホールの半径が0.03 mm程度であるために外縁部のピンホールが良く効いていないか、あるいは、逆に悪い影響を与えているためではないかと想像されます。
茨城県大洗町のオーシャンビュー大洗で、2015年2月16日〜3月31日まで展覧会「竹田辰興ゾーンプレート写真展」を開催しました。
下のKindle本「やわらかな光と影」はこの展覧会の写真を中心に構成しました。