Atelier Bonryu
pinhole photography
Atelier Bonryu
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ピンホール写真_研究室
ピンホール写真の応用 - ピンホール・ミラー(2)
前ページで触れた「ピンホール・ミラー」に関してもう少し続けます。
今年(2009年)は日本で皆既日食が観測できるということでピンホール写真愛好者の間でも大きな話題となっています。私が子供の頃は日食観測と言えば、小学校の理科の授業等でも、すすで黒くしたガラス片や黒く感光したフィルムを使っていたように記憶していますが、最近ではこれは眼にとって大変危険なことなので使ってはいけないと言われています。真っ黒な「可視光遮断赤外線透過フィルター」を使って写真を撮っていると、可視光が遮られていても赤外線はすいすいと通過してくることがわかりますから、これもなるほどと実感できます。そういうわけで、簡単に日食観測を行うためには、金属膜を蒸着した日食グラスを用いるかピンホール投影が勧められています。私は、前ページで触れた「ピンホール・ミラー」の方法を使おうと準備をしております。もともと、このピンホールミラーは太陽黒点の写真を撮ろうと思って用意始めたのですが、残念ながら、昨年から黒点数が異常に減少しているようで、作成してから今までのところ黒点観測の機会に恵まれておりません。
私は、長くて暗い廊下を用意できませんから、投影面の近くを箱(投影箱、暗箱)で覆って環境光の侵入をなるべく避けることにしました。このため、光の入射する窓とカメラが覗き込む窓を紙筒で作成し、箱の内部は墨を塗って黒くしてあります。そのようなわけですから、ウッドほど欲張らずに、家の前の児童公園で焦点距離20 m位のピンホール投影を行おうと目論みましたが、やはり光の遮蔽が大変で、焦点距離6 mまで目標を下げました。この場合、投影面における太陽の直径は5 cm 位になります。写真撮影は専用の覗き穴から行います。今のところ、快晴の日がないので、雲の切れ目を狙ってテストを行いました。まだ改良の余地は色々ありますが、とりあえず、日食による太陽の外形の変化位ならば十分撮影できると思われる「装置」が出来上がりました。
ピンホール・ミラー
⇧ピンホール・ミラー用の投影箱
直径2 mmのピンホール・ミラーにより6 m離れた投影箱に投影された太陽像。雲の多い天気だったので撮影には有利な条件ではなかった。
⇧庭に設置したピンホール・ミラー
と投影箱
2009年7月22日、水戸は朝から厚い雲に覆われて曇時々雨の天気でピンホール・ミラーの出番はありませんでした。晴れていれば9時57分20秒に食開始、11時13分43秒に最大食分72%となり、12時29分54秒に終了するはずでした。
12時26分頃になると突然太陽を遮っていた厚い雲の一部が薄くなり部分日蝕の最後の一幕を見ることができました。ピンホール投影はできませんでしたが、E-510に180 mmレンズをつけて「普通」の写真を撮ることができました。1分後には太陽はまた厚い雲に隠されましたが、日食終了3分前の写真です。
悪天候のためピンホール・ミラーは使えませんでしたが、日食終了の3分前に厚い雲の彼方から1分間だけ姿を現した太陽をレンズ付きカメラで撮影しました。E-510、18 - 180 レンズ、F11、1/3200秒