Atelier Bonryu
ultraviolet photography
Atelier Bonryu
ultraviolet photography
紫外線写真_研究室
紫外線写真の特徴:花のネクターガイド
赤外線写真の場合、木々の緑の葉が強く赤外線を反射して,衝撃的とも言える美しい風景写真が撮れるので、デジタル赤外線写真(DIP: Digital Infrared Photography)は新しい写真芸術の分野を開きつつあります。これに対して、紫外線写真の可能性は極めて高いにも拘らず、現在では学術研究、文化財調査、法的利用(犯罪捜査等)、その他、等の実用的な目的への応用が中心であるようです。中でも花の紫外線写真は昆虫が見ている世界を私たちも見る手段を提供してくれるので学術研究を離れても魅力のある応用分野です。また、「紫外線写真撮影の実際」のところで記したように、紫外線写真撮影に際しては撮影した写真が本当に紫外線写真であることを確かめなければなりませんが、花の紫外線写真が示す独特なパターンはよく調べられているので、このようなパターンが撮影されていれば本当に紫外線写真が撮れていることを確認できます。
ブルズアイとネクターガイド:受粉を昆虫による媒介に依存している花は、その昆虫(pollinator:媒介者)が遠くから花を見つけやすいように、また、花のところまできた昆虫が密のある部分に簡単に到達してその動作によって受粉ができるようにいろいろな「宣伝活動」をしています。前者が「ブルズアイ」(bull’s eye)で後者が「ネクターガイド」(nectar guide:蜜標)と呼ばれるもので、花弁に見られる独特な模様です。
ブルズアイというのは、通常、弓道や射撃の「標的」あるいは軍事用語で「爆撃目標」を意味しますが、花の紫外線写真について話をするときには、花の中央部が丸く違う色になっていて遠くから眼を引くパターンのことを指します。これに対して、ネクターガイドは花弁に降り立った昆虫が蜜のあるところに迷わずに直ちに行けるようにすることを目的にした道しるべと言えます。ブルズアイにしてもネクターガイドにしても可視光で見えるものもあります。例えば、ツツジの花の5つの花弁のうち一番上についている花弁には可視光でも見える点々模様のネクターガイドがついていますが、実際、この花弁の根元に蜜があります。ここでは、もちろん、紫外線で見えるパターンについて考えます。