Atelier Bonryu
infrared photography
Atelier Bonryu
infrared photography
赤外線写真_研究室
3-2 フィルターと擬似カラー
赤外線とカメラのセンサーとフィルター:赤外線は眼に見えないので、もちろん、色はありません。しかし、「赤外線透過可視光遮断フィルター」をカメラのレンズの前に付けて写真を撮ると、何やら色のついた写真が撮れます。この色は、カメラの種類と撮影時の設定(ホワイトバランス等)によって決まるので、同じ被写体でも別のカメラで撮れば違った色になります。これは、赤、緑、青を担当するセンサーに入った赤外線は、それぞれ、赤、緑、青の光であると解釈されて表示されて眼に見える写真になるからです。赤、緑、青のセンサーの前についているカラーフィルターは、それぞれ、赤、緑、青の光を最もよく透過しますが、どのカラーフィルターも赤外線をわずかに透過するのです。この点については、注釈5に簡単に説明してあります。普通、デジタルカメラに使われているセンサーの波長特性は、カメラメーカーから公表されることはまれですが、第三者が測定したデータがをインターネット上で見つける可能性はあります。私が愛用しているカメラの一つであるオリンパスE-300のセンサーはコダック製のKAF-8300というセンサーであるとされており、このセンサーの特性はコダック社により公表されています。それぞれのカラーフィルターが赤外線を透過させる量は全体としても違うし赤外線の波長によっても違いますから、3種類のセンサーは別々の情報を受け取ることになります。このように、一口に「赤外線」と言っても、3つのセンサーが強く反応する波長領域が異なりますから、ちょうど可視光領域で3つの異なる波長領域を分担する赤、緑、青用のセンサーによって「豊かな自然色」の世界が表現されるように、赤外線領域でも「豊かな擬似カラー」の世界が表現されるのです。ただし、可視光線から遠い領域では3種類のフィルターの透過特性が似てくるので全体が無彩色に近づいてきます。
赤外線透過フィルターとフォルスカラー:上に記したように、可視光の波長領域では、赤、緑、青のフィルターの特性は際立って違っていることが注釈5の第R5−1図からもわかります。しかし、赤外線の波長領域ではその違いはあまりはっきりとはしていません。ということは、3種類のセンサーから出てきた信号に与える色情報をいろいろ変化させても、写真全体的な色は変化しますが、あまり変わった印象は与えません。