Atelier Bonryu
zone plate photography
Atelier Bonryu
zone plate photography
ゾーンプレート写真_研究室
ゾーンプレート写真の撮影ー副焦点
下の左図は、波長、焦点距離、ゾーン数を550 nm、100 mm、15 として作ったゾーンプレートに平行光線を入射したときに光軸上のどの位置に光が集まるかを計算した結果の図です。緑色がフレネル型ゾーンプレートを、赤がガボール型ゾーンプレートを表しています。何れのゾーンプレートでも、設計通り、100 mmの位置の主焦点に光が集まっていますが、フレネル型ゾーンプレートでは、この他に、33 mm および 20 mm の位置にも光が集まっています。これらの位置は、主焦点距離 100 mm の 1/3 および 1/5 の副焦点に相当します。1/7, 1/9,...の副焦点も存在しますが、これらはこのグラフの外になるので描かれていません。ガボール型ゾーンプレートの場合はこれらの点に光が集まっていない事がわかります。
上の右図はフレネル型ゾーンプレート(焦点距離100 mm、ゾーン数15)の主焦点(実線)および副焦点(破線)の位置にスクリーンを置いてこれらの焦点の近くでの光の集まり方を計算した結果です。この図を見る限り、副焦点にはより狭い範囲にに光が集まっているようで、主焦点よりも分解能の高い写真が撮影できるように見えます。しかし、実際には、副焦点を使って写真を撮影するのは容易ではありません。詳しい事は※注7で説明しますが、簡単に言えば、副焦点に集まる光の総量が急激に減少する事と背景光の割合が急激に増加する事が原因です。
焦点距離:300 mm、ゾーン数:65のゾーンプレートの副焦点(焦点距離:100 mm)を使って撮影したノウゼンカズラ
焦点距離:300 mm、ゾーン数:65のゾーンプレートの主焦点(焦点距離:300 mm)を使って撮影したノウゼンカズラ
焦点距離:90 mm、ゾーン数:19のゾーンプレートの主焦点(焦点距離:100 mm)を使って撮影したノウゼンカズラ
焦点距離が300 mmでゾーン数が65のゾーンプレートの副焦点(焦点距離:100 mm)で撮影した写真は、焦点距離100 mm、ゾーン数21程度のゾーンプレートの主焦点で撮影した写真と比較すべきでと思われますが、ここでは手元にあった焦点距離90 mm、ゾーン数19のゾーンプレートを使って撮影した写真と比較した。また、焦点距離300 mmで撮影した写真も添えてあります。何れにしても、主焦点を使って撮影した写真の方がはっきりとした写真になります。ただ、副焦点を用いて撮影した写真も強い光の部分の輪郭は明瞭に出ていますから、画像がぼんやりしている原因はあくまでも背景光が強すぎることによるものです。これらの写真は、いずれも、前に述べた方法でレベル調整によって背景光の影響を減らしていますが、副焦点を使った写真では背景光が極端に強いのでこれを十分に取り除くのは困難です。しかし、においても記してあるように、長い焦点距離でゾーン数を大きくすれば背景光の効果を減らせる可能性があります。