Atelier Bonryu
zone plate photography
Atelier Bonryu
zone plate photography
ゾーンプレート写真_研究室
ゾーンプレート写真の撮影ー色収差
上の条件が満たされていない場合、実際の写真でどのように見えるかは被写体や撮影条件によって色々で、見た目にはほとんど色収差を感じられない写真が撮れることもしばしばあります。しかし、このような場合にも、写真をRGBチャンネルに分解してみると、実際に焦点が合っているのは設計波長550 nmを含むG(緑)チャンネルであることがわかります。実際的なゾーンプレートでは、400 nmから700 nmまでの可視光全域に焦点を合わせることが出来ませんからR(赤)チャンネルとB(青)チャンネルの像はぼけてしまいます。しかし、Gチャンネルの像が形をはっきりと表現していれば、多くの場合、色はRGBを混ぜ合わせて自然な画像を作り出すことが可能であるようです。しかし、Gチャンネルの光が他のチャンネルに比べて弱いと本質的に不鮮明な写真になってしまうことはやむを得ません。このため、ゾーンプレート写真は被写体の状況によって大幅に出来上がりが異なってしまいます。被写体として得意な分野があるのです。
下の写真は、色々な焦点距離(f=55, 90, 180 mm)を持つゾーンプレート によって、異なる位置にある被写体を撮影した時にR, G, Bチャンネルの画像がどのようになるかを示したものです。(a),(b),(c)はゾーンプレートを使って撮影した写真そのままで、(-R),(-G),(-B)はこれらの写真をRGBチャンネルに分解して別々に表示したものです。なお、fはゾーンプレートの焦点距離、aはゾーンプレートから被写体までの実際の距離、a’は設定した被写体までの距離です。 (a),(b),(c) の何れの写真もGチャンネルの像はかなりピントがよくあっていますが他のチャンネルはあまり鮮明とは言えません。(a),(b)の写真は、それぞれ、1 m, 3 mの位置にある被写体を無限遠にあるとして撮影していますが、これは被写界深度の範囲内ですのでピントが合っていると見なせます。(c)の写真は焦点距離が長くなって色収差の効果が大きくなったためにRチャンネルのぼけ方が著しくなっています。